大阪教育大学の附属学校園の改革とそれに関する動きについて
附属平野中学校同窓会長 名倉嘉史
先日、発行いたしました同窓会新聞「ひらの」第44号の巻頭において、「再編問題については、これまでの経過や今後の状況を同窓会ホームページなどで紹介します」と記載したところです。その詳細につきまして、以下のとおりお知らせいたします。
なお、PDF版をこちらにアップロードしておりますので、あわせてご参照ください(本文は同じものです)
(これまでの経過)
①附属平野五校園連合会に「平野未来検討委員会」を設置
令和7年3月、大阪教育大学の経費削減等を背景に、令和8年度からの「第1期改革」として、池田地区と天王寺地区の中高のクラス減(4→3)、平野地区の幼稚園の定員削減が大学の役員会で決まり、大学のホームページで公表されました。
大学の附属学校園については次期以降の改革が引き続くことが予測されたことから、平野地区の五校園としてどのように大学と協働しながら貢献していくか、また公教育の振興や地域の発展にどのように寄与していくかについて、他の関係組織と連携しながら話し合いの場を設けたいという趣旨から、附属平野五校園連合会(会長:坂井幸子さん~附中36期生)におけるワーキンググループとして、令和7年6月に「平野未来検討委員会」を設置し、情報の共有と今後の対応について検討することとなりました(委員長:藤井聡京都大学教授~附属高校13期生)。

同検討委員会には、附属平野五校園連合会の構成団体を中心に、各学校園のOB教員や教育関係者とともに、附属中学校同窓会や附属小学校、高校の同窓生組織がメンバーとして加わっています。
令和7年夏以降、附属平野五校園連合会が中心になり、大阪教育大学の藤井睦子副学長(兼大阪教育大学附属学校統括機構長)には、大学法人としての考え方や方向性、附属学校園の機能向上に向けた再編整備を含めた附属学校園の将来像を示していただきたい旨伝えています。
五校園連合会や平野未来検討委員会では、平野・天王寺両地区に設置されている附属中・高を含むあり方について、行政的判断に直接参画する法的な権限はないことはもちろん認識しており、天王寺とも対立なども望んでおらず、むしろ協力する立場ですが、他の代替策がないという中で、平野地区の附属学校園が統合・廃止されるといった案は受け入れられないとの立場を共有しています。
大学法人内の組織である附属学校統括機構においても、改革にあたっては文科省からの通知で、各校のステークホルダーとの適切な合意を図ってほしいとされているところであり、中・高の改革だけでなく幼稚園や小学校、特別支援学校も含めた保護者の懸念を払しょくするようなスケジュール感を持ったものが示されるものと考えていました。
並行して、この間に文科省高等教育局専門教育課の若林徹氏の講演「国立大学附属学校を取り巻く現状について」を受けるなど、文科省としての考え方や取り巻く状を確認、共有してきています。
②大阪教育大学附属学校統括機構による説明会の開催
令和8年2月27日に、大阪教育大学附属学校統括機構による大学としての「附属学校園第2期改革構想の方向性について」対象を五校園のPTA会長、後援会・振興会長と連合会長に絞った説明会が開催され、そこに「平野未来検討委員会」のメンバーも参加しています。
今後に向けた情報を共有することが目的とされた説明会でしたが、附属学校統括機構からは「附属学校園第2期改革構想の方向性について」、想定されている改革の内容について説明があり、それに対しての疑問点や確認すべき点について、附属平野五校園連合会や平野未来検討委員会のメンバーから提示しています。
ところが令和8年3月10日になって、大教大の「天王寺・平野の附属中・高の統合案」が新聞・TVなどで、唐突に、かつ集中的に報道されました。ちょうど各学校では生徒への進路指導や卒業式などの行事が立て込んでいた時期でもあり、保護者や教員にも動揺が広がりましたが、大学側へ問い合わせたところ、「各社から取材があったのでそれに応じた」といった説明がされたところです。
③大学が考えている「附属改革案」について「考える会」の開催
大学の「附属改革案」についての情報と、五校園連合会としての改革案へのスタンスや投げかけている疑問について、2月27日の説明会の内容を報告することで、附属平野五校園の保護者、教育後援会・振興会、同窓会の皆さんと共有することを目的に、令和8年6月20日に附属平野五校園連合会が「『附属改革案』について考える会」を開催しました(於:PROME天王寺 会場参加者40名、WEB参加者約300名)。参加者からも質問やご意見が多く寄せられ、大学側にも送付、報告しています。
④大学から五附属学校園のPTA役員、教育後援会・教育振興会役員への説明会を開催
大学から「新年度の役員の意見をお聞きしたい」との趣旨を受けて、令和8年6月27日に、附属平野五校園連合会が主催するという形をとって、PTA役員、教育後援会・教育振興会役員への説明会を開催しています。
(大学の「附属学校園改革案」について)
令和8年3月に大阪教育大学が公表している「附属学校園第2期改革構想の方向性について(概要)」は次のサイトで示されています。⇒ https://osaka-kyoiku.ac.jp/Portals/0/files/university/center/school/20260310.pdf
ここでは、この「方向性について(概要)」で大学側が示している主な内容を紹介しつつ、これまでの説明会などで、大学にさらに趣旨の説明を求めてきたことや参加者から疑問、懸念の声が出たものについてご報告します。
- 附属学校園を取り巻く状況
「方向性について(概要)」では、附属学校園の改革が必要となってきた背景となる状況について、次のように指摘しています。

ただ、①として挙げられている受験倍率の低下や児童生徒数の減少については、附属学校園が「教育及び研究を行う機関である大学における教育研究に協力する学校であり(学校教育法や文科省通知)、教員養成や教育研究、地域・全国への成果還元を目的として設置されたものであること」に鑑みれば、そのことをもって存在を否定されるような要因ではないのではと考えられます。
また、②~⑥にある状況は、国立大学法人全般に共通するものもある一方で、附属学校園の財源や人材・人員の確保の課題についても、これまで大学がどのような対応を行ってきたのかが問われかねないものでもあり、その結果として、①にあるような状況を生み出したのではとも言えるものです。
2.大学による第2期改革の方針
「方向性について(概要)」では、1.の取り巻く状況から、次のような「第2期改革構想検討の観点」を導き出しています。

そのうえで、「天王寺・平野地区の改革方針」と「池田地区の改革方針」という2つの方向を示し、私たちの母校に関わる前者の方針では、「みらい教育コモンズ」という先導的な教育モデルを構築して、今年3月に報道されたような「2中学校、高等学校2校舎」を「1中学校、1高等学校」へと再編(統合)するとの方針を打ち出しています。

統合に向けて設置するとされている新しい中高一貫校については、設置場所の決定や既設の施設設備を活用したうえで新校舎建設を目指すとされていますが、具体的な方策については未定であるとの説明でした。
また、影響が波及する附属小学校・幼稚園などへの具体的な言及もされなかったことについては、説明会のあとで参加者から懸念が示されていたところです。
さらに、改革の内容によっては、「もともと平野地区の附属学校園も含めた大学用地については、教育施設を設置するという約束で地元の皆さんから国へ譲渡されたもの」という経緯があるが、それをないがしろにしかねないとの反発が予想されるといった意見も出ていました。
(これから予想される動き)
大阪教育大学が想定する「附属学校園改革に向けたロードマップ」では、令和9年度に策定する大学の「第5期中期計画」への反映するため、令和8年度で上記の2に挙げた「大学による第2期改革の方針」にある検討内容について具体化した整備計画を「第2期改革構想」として取りまとめるとされる一方で、「教職員や保護者、後援会等のステークホルダーに対し本改革構想の趣旨や必要性について丁寧な説明を行い、意見交換を行う」とされています。
これは、文科省が令和7年に示した「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会の改革の方針」に、「教員養成大学・学部の在り方についても教育の質向上のため、効果的な運営体制の構築に向けた大学間の連携などの見直しを求められる。そのうえでステークホルダーとの対話も通じて、設置される附属学校の数、種類、規模等についての整理を行い、それを踏まえて必要な見直しを実行することが求められる」とされていることを踏まえたものです。
冒頭の(これまでの経過)でふれた今年2月に附属学校統括機構によって開催された説明会以降の説明会や勉強会では、次のような疑問や心配する声が出ています。
①改革案が「子供たちの教育環境を改善するためにほかに良い案がない」というのであれば賛成したいが、そういう案であるのか?
②「文科省の指針では附属学校園の合併等の際は『大学自体の在り方』への見直しが前提との趣旨が示されているが、その点は検討されているのか?」
③また、「五校園がそろっていることや地域の防災拠点ともなっている平野地区にはいろいろな価値があると考えているので、かりに中・高の閉鎖を伴う改革であれば、失われるものより得られるものが多いとの説明はできるのか?」
今後、大学が想定する「附属学校園改革」を進めるにあたって、文科省の指針に沿って、ステークホルダーへの説明と意見交換を行う際には、「子どもたちにとって良い環境となることを最優先にし、その際には保護者や教育後援会等の意見をしっかり聞くとともに尊重していただき、だれもが納得できるような説明」をされるように、附属平野五校園連合会として、大学の附属学校統括機構に求めていくこととしています。
(同窓会長としての付言)
私は、(これまでの経過)にある「平野未来検討委員会」の発足時からそのメンバーとしてこの問題に関わらせていただいていますが、以下の論述はあくまで私個人の思いなり感想ですので、附属平野五校園連合会や平野未来検討委員会の考えではないということと、附属平野中学校同窓会として集約されたものではないということをご了解いただいたうえで、お読みいただきたいと思います。
大阪教育大学はもちろん、平野のみならず池田、天王寺にあるそれぞれの附属学校園についても、その運営や設置の目的、社会的な役割はそれぞれ持ち合わせていて、それらも時代の動きやニーズの変化に合わせてアップデートしていかなければならないことは論を待たないところです。
今回、大学から提起された「附属学校園改革案」についてもその一つではあるのでしょう。ただ、この改革案については、大学の運営、とりわけ財政的な安定のために、附属学校園を統合あるいは縮小が必要なのだといった定番的な改革志向が先行しすぎていて、どういった附属学校園群にするんだ、そこに通う生徒たちはこういった先進的で素晴らしい教育を受けることになるんだ、といった願いや連携する附属学校園も含めた今後の大学法人としての在り様について、具体的に提案されているものが乏しいように感じています。
もう一つ、(これから予想される動き)のところで、大学としての「改革に向けたロードマップ」を示していますが、「附属学校園改革案」については令和9年度に示される予定の大学の「第5期中期計画」への反映が前提とされています。しかし、その工程にとらわれるあまり、文科省の指針に沿った「ステークホルダーへの説明と意見交換」が今後丁寧に進められるのかどうかについても懸念しています。
今回「平野未来検討委員会」のメンバーになったことで、学校や大学など実際の教育現場に携わってきた方や企業人として活躍されている方など、様々な方たちと話し合う機会を得ました。こういった方たちが多くおられるのは中学校のみならず、附属学校の財産といえるものですが、皆さん、単なるノスタルジーや変化を嫌うといったことを理由に現状の維持を望まれているような方はおられませんでした。中には専門的な見地から具体的な対案ともなるようなアイデアを示されている方もおられます。
これからのステークホルダーへの説明と意見交換の際には、大学が示している「改革案」のみがスケジュールありきで押し通されることではなく、これら学識的な示唆にも富むアイデアを取り入れることも含め、多様なステークホルダーと意見を交わされることで、附属学校園が子どもたちにとってより良い環境となることを最優先にしたものとなるような改革となるように願っていますし、そう訴えていきたいと考えています。

